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タンポポの綿毛に息を吹きかけて 誰かに届けと書いてます

一つの言葉でけんかして ひとつの言葉で仲直り

一つの言葉でけんかして.JPG
月に一度通う眼科。
壁に掛かった額がいつの間にか変わっている。
そう思ったが、前の額が思い出せない。
ひょっとしてずっと前からこの額だったのかな。
と、人間の記憶の曖昧さを再認識させられながら、
書かれている文字を眺めた。
人間、いかに記憶が曖昧なのか、
特に関心のないものはそれが顕著だろう。
思い込みもあるだろう。
いつもよく利用するA社のタクシーが黒で、
たまに利用するB社のタクシーも黒で、
今日乗って財布を忘れたのは実はB社のタクシーなのに、
昨日たまにしか乗らないB社のタクシーに乗ったので、
まさか2日連続でB社のタクシーな訳がない、
今日乗ったのはA社しか考えられない。
そんな思い込みもあり得る。

などと説得力のない例え話まで持ち出して、
自説(当然だが自説ではない)を力説してはみたが、
果たして説得力はあっただろうか。
なかっただろう。うん。(笑)

話を戻して額に書かれた言葉。
一つの言葉でけんかして
 ひとつの言葉で仲直り
一つのコトバにお辞儀して
 ひとつのことばに泣かされた
ひとつの言葉はそれぞれに
 一つの心をもっている
初めてみた言葉で、何やら心惹かれた。
そうか、言葉一つで、
人を傷つけたり、人を感動させたり、
すごい力を持っているんだなと、
言葉に心があるんだなと、そう想った。
そういえば日本には言霊という言葉がある。
長々とこの額に書いてある言葉でもって説明せんでも、
「言霊」の一言で、事足りるのではないか、
とも想ったが、それをいっちゃぁおしめぇだぁ。(笑)

さて、この言葉は誰の作なんだろうか。
出典が気になってネットで調べてみた。
そうすると、どうもはっきりしない。
色んな情報があってよくわからない。
調べた限りでは、北原白秋淀川長治
男はつらいよの映画の中で出てくるなどの情報に当たる。
だが出典が記されていなかったり、
辿っても辿りきれなかったりする。

なおも調べるうち、
出典について調査したページが二つ見つかった。
前者は国立国会図書館のデータベースということで、
信頼できる情報だと思うが、
結論としては出典不明。
後者は個人のページのようだが実によく調べている。
数ページにわたって調査結果と考察を書いている。
ネットだけに頼らず関係先に電話で問い合わせたり、
関係する本を取り寄せたりしておられる。
男はつらいよ」のDVDを数十本見たとも書いてある。
信じがたいほどのこの執拗さが、
わたしのような凡人とは違うところだ。
わたしも見習ってこのくらい詳細に調べものに取り組みたいものだ。
たぶんしないけど。(^^;
で、このブログ主様も、結論としては不明とのこと。

作者不明という結果ではありますが、
わたしが知りたいことを全部先におやりになられている。
感謝してます。
しかしよくここまでお調べになられました。
見上げたもんです。
「あっぱれ!」を上げたい気分です。
なんで上から目線やねん。(^^;
このブログ主様のページの中にこんな記述があります。
私の知人(学芸員)が大学の授業の最初に、いわれた
言葉が、「すべての学説は信用するな」だそうで、
ノーベル賞本庶佑教授も同じような事言ってたような・・・
新たな発見があるとそれまでの説は消えてしまう。
常識であろうと何であろうと、永遠に普遍ではない。

ちなみに、わたしがこれまでの人生経験を踏まえて、
密かに座右の銘というか生き方の一つの指針として、
大事だと思っている言葉が、
「他人を信じるな。自分をも信じるな。」
です。
なにか通ずるものがあるとは思いませんか。
なんか独りよがりで排他的、
と捉えるかも知れませんが、
そうじゃないですよ。
広い大きな心で一度そらんじてみて下さい。
きっと深い真意が伝わると思います。

ということで、なんかだらだら書いてきましたが、
結局出典にたどり着けなかったということでございます。
この辺で終わります。

この、「一つの言葉でけんかして」
で始まる数行の言葉、
人の口から口へ伝わるうちに、
少しずつ変化したり、付け加えられたり削られたり、
いろんなバージョンがあるようです。
出典が明確ならそういうことも起こらなかったのかも知れません。

この額に書かれている言葉を見ると、
「一つ」だったり「ひとつ」だったり、
「ことば」だったり「言葉」だったりと、
これはこの書を書いた人の意志なのか、
それともなにか書写する元になったものが、
そうなっていたからなのか、
それさえも、
不明なのです。

はい、本当にここまでにします。
長々と読んでくださいまして、
ありがとうございます。
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