昔はインターネットで個人が情報を発信するには
ホームページを作る位しか方法がなかった。
HTMLの習得に手間取ってデザインにばかり凝って、
肝心のコンテンツはいつまでも増えないのだ。
そのためコンテンツを作る意欲を無くした人や、
実は人に発信するようなコンテンツというものを、
持ち合わせていないことに気付かされた人も多かったろう。
何を隠そう、わたしがその口なのだ。
その後ブログやら
ツイッターやら、
フェースブック、ライン、ユーチューブ等々、
上げればきりがないくらい様々な方法で、
比較的簡単に情報発信が出来るようになってきた。
わたしとしては嬉しいことなのだが、
如何せんついてゆくのが辛いのだ。
このインターネットの進展具合なのだが、
考えてみれば、たかだかここ二十年くらいの事ではないのか。
あまりにも進化が速すぎはしまいか。
進化の法則に反してはいないのか。
なにやらインターネットというアメーバ状の巨大な生き物が、
地球をスッポリ丸呑みしたような図を思い浮かべてみたりするのだが。
よくバーチャルと言うが、インターネットはまさにそのようである。
しかしよくよく考えれば、
バーチャルはなにもインターネットに限ったことでもない。
電話だってそうだ。直接相手の声を聴いているわけではない。
昔ながらの通信手段である手紙にしたって同じことだろう。
直接直に相手の意思を受信した訳ではない。
紙幣。紙切れに何の価値があるのか。
そう考えてゆくと、
経済、政治、宗教、道徳規範、
すべてがバーチャルと言えまいか。
そんなものは人間同士の単なる約束事であって、
宇宙の万物を支配する偉大なる原理の前では、
尻をからげて逃げ去るしかないのだ。
壊れるのはこの辺で止めよう。
ポケベルやテレカなんぞは最早化石と成り果てた今、
未だに昔苦労してHTML勉強してコツコツと、
寝る間も惜しんで作っていたホームページを、
ろくなコンテンツも無いのに、
後生大事に、インターネットという、
バーチャル空間に漂わせ続けていたりするのだが。
実は閉鎖の方法を知らないだけだったりするのだが。
アカウントやらパスワードの類を忘れてしまっていることもあるが、
運営会社の存在自体が良くわからなくなっていることが主因だ。
まあそれはともかく、
寿命が尽きて使用
不能になったかつて打ち上げた
人工衛星の、
ただただ無為に軌道をひたすら回り続けるその姿を、
ある種の郷愁と、憐憫とか自己満足とかなんやらの、
入り混じった複雑な思いで眺めるかのように、
今や化石と成り果てた昔のHPを、
時々覗いてみたりするのである。
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